4. 物質の根源を求めて、素粒子とは何か?

千差万別の物質は、百種類ほどの原子からできています。原子は物質を構成する 最小の要素という意味で名付けられました。しかし、原子は原子核と電子から、 原子核も陽子と中性子から構成されています。このような物質の階層構造はどこまで続くのでしょうか。それ以上分割できない点状粒子の素粒子とは一体どのようなものでしょうか。


素粒子発見の幕開け、19世紀末

物質の基本的な構造や、互いに及ぼしあう力の根源を解き 明かそうとする高エネルギー物理の歴史は、素粒子の発見の 歴史と重ね合わせることができます。その発端はちょうど 100年ほど前にさかのぼります。1897年、J.J.トムソンは真 空管を通る陰極線が電子であることを発見しました。この発 見が素粒子発見の第一号です。

当時、物理学者の興味の対象でしかなかった電子が、10 0 年の後、エレクトロニクス技術の基礎となり、テレビ、パー ソナルコンピュータを始めとする今日の高度情報化社会を生 み出しました。特に、テレビのブラウン管は陰極線をそのま ま利用しています。

素粒子とは?

一般に、物質を構成する最も基本的な粒子を素粒子と呼ん でいます。私たちの体、動物、魚、木、花などの地球上のも のは、1億分の1センチメートル程度の大きさの原子からでき ています。また、原子はその大きさの1万分の1の原子核と、 その回りに引き付けられた電子よりできています。さらに、 原子核は幾つかの陽子と中性子が結び付いたものです。

原子核の内部構成が判ったばかりの頃は、電子と陽子と中 性子が素粒子だと考えられていました。しかし、1930年代か らは宇宙線の中に、そして1950年代からは高エネルギー加速 器を用いて、次々に新粒子が見つかりました。どれも自然界 に安定に存在するものではなく、寿命の違いはあっても、他 の粒子へと崩壊してしまうものでした。なかでも、陽子/中性 子とその仲間やパイ中間子とその仲間といった、互いに電磁 気力の100倍もの強い力を及ぼし合う粒子が非常に多く、ま とめてハドロン族と呼ばれました。一方、電子に対する反電 子(陽電子)だけではなく、陽子に対する反陽子のように、 どの粒子にも互いに出会うと消滅してしまう反粒子が存在す ることがはっきりしたのもこの頃でした。

「粒子の動物園」とまで言われたこの状況が変り始めたの は、1960年代後半でした。粒子の分類に基づいた理論的な推 測だけではなく、実験によってもハドロンは、もっと基本的 な粒子であるクォークからできた複合粒子だと分かったので す。内部でのクォークの配置や組み合わせによって、さまざ まな複合粒子状態が出現したのです。素粒子という名前は、 それ以上分割でいない、内部に構造を持たない点状粒子をイ メージしたものですから、陽子も中性子も厳密な意味での素 粒子ではありません。

現在のところ、物質の素粒子は、ハドロンを作るクォーク、 そして、電子、ニュートリノ、ミューオンなど強い力を感じ ないレプトンです。




メモ:大きな(小さな)数の表示方法:1億という数は1のあとに0が8つも並ぶ 100,000,000で表示することができます。もっと大きな数になるとさらに多 くの0が並びその表記が煩雑になります。そこで、1億は並んだ0の数の8を 10の右肩の上に置き、108(10の8乗)と表します。また、その分数は右 肩の数の前にマイナス符号(-)を付けます。したがって、1億分の1は 10-8(10のマイナス8乗)と表します。




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